フラップT (Flap T) の解説【Let it goがレリゴーに聞こえる理由】

「Let it go」がなぜ「レリゴー」に聞こえるのか、「Butter」を「バター」と歌うとなぜオリジナル曲と響きが違うのか、疑問に思われたことはありませんか?

また、「ウォーター」のはずのwaterが

ワーラー

と聞こえたり‥。


聞いたこともない謎の人物、

ヘァリー・パラー

について熱く語られ、調子を合わせるあなた。
しばらく謎のパラーについて聞き入った後、
ハリー・ポッターのことかーーいっ!」
と椅子から滑り落ちたり..。

Tがラ行やダ行に聞こえる音に変化するその現象、

フラップT(Flap T)
フラッピング(Flapping)とも呼ばれる

といいます。

フラップTはアメリカ英語の響きを持たせるのに必要な発音方法です。
理解すれば、リスニング力UPという特典付き。この機会にチェックしておいてください!

バイリンガルのクロエです。英語と日本語両方を使って育ったからこそわかる日本人にピンときやすい表現を使って、くわしく説明しますね。

クロエ


それでは、Let’s get started!

目次

フラップT(フラッピング)とは何?

「フラップ」の言葉の意味

フラップ flap とは、「パタパタさせる」「(鳥や蝶が)羽ばたきする」「弾く・(軽く)打つ」
という意味を持つ言葉です。

フラップTは、「舌が上あごを弾く」ことによって発音されるTです。

その発音法により、TがLとDの間のようなソフトな音に変化します。

water だとこんな感じ。

フラップTが起こる理由

通常のTは、息を止めた状態から舌で破裂音を出すことによって発音する強めの音です。

はい、うっすらお気づきでしょうが、なかなかパワーが必要な音です。

 Tーーーーーーー!!!!!

パワーを必要とするその音を、息の流れ・口の動きがスムーズになるよう変化させた発音の仕方、
それが『フラップT』です。

この記事ではアメリカ英語での発音方法を紹介します

フラップTの発音方法

  • 舌で上あごをすべらせるように弾く

  • 舌をほんの少し奥へ引く

  • 発音する


    この3点を同時に行う

「3点を同時に」で後ずさりされたあなた、大丈夫です。実際にやってみると、とてもシンプル。

日本語でも、ラ行を発音する時に舌を少しすべらせる、など似た動きを行っています。
すべらせる向きや程度が違えど、経験済みの動き。余裕です!

この動きの結果、LとDの間のようなソフトな音が生まれます。
下記の点に注意すると、発音しやすくなります。

  1. 舌は、舌先でなく舌先から約1cmまでを面として捉えて使う

  2. 弾く場所は、上歯茎裏(ボコッとなったところ)を目安に

舌は、舌先でなく舌先から約1cmを面として捉えて使う

舌先を固めて先端のみで行わないこと
舌先~少し奥までの部分を小さい面として使うことで、フラップ flap の言葉の意味通り、「パタパタさせる」状態になります。

舌先は固めて尖らせないで~
面でパタパタだよぉー

弾く場所は、上歯茎裏を目安に

フラップTが起こると、日本語のラ行の音に聞こえがちです。
ただ、ラ行は舌で弾く場所が、フラップTの場合よりも口の奥側です。
ラ行のまま発音すると、独特な響きが出てしまいます

上歯茎裏から口の奥へほんの少しすべらせるように弾く、という感じです。

ただ、話される言葉の前後の音によって微妙に変化します基本の状態として、ざっくりと理解して下さい。

フラップT(フラッピング)が起こる条件

フラップTは、言葉を話す上で、口の動きや音の流れをスムーズにする為に自然に出来た発音です。条件を厳守して行うものではなく、例外もあります。

地域によって使ったり使われなかったり。
同じ地域でも個人によって使ったり使わなかったり。
同じ人であっても、話すスピードや気分によって使ったり使わなかったり。

なので、条件については、ざっくりと理解してください。

条件の理解はざっくりとね

 フラップTが起こる条件 

Tの位置が

  • 母音と母音の間

  • Rと母音の間

  • 母音とLの間

  • RとLの間


    であると同時に、
    Tの直後の母音にストレスが置かれないこと

文字の並び方じゃないよ
音の並び方だよ~
「母音」の位置でチェック♪

例) daughter  の場合

T の位置 』は

🟠文字の並びだと
  daughter 子音母音

🟠音の並びだと  
  dɔ́tər   母音母音  


🍀フラップTが起こる条件に当てはまるかどうかは、
 『音の並び』の方でチェックしよう!

おお!
だから
eightydaughter もフラップTになるんだ!

この後の説明では、日本人に聞こえがちなラ行を使って表記します。
実際に発音する時は、できるだけラ行と区別してくださいね。

①Tが「母音と母音の間」の例

water
butter

かの有名な「ワーラー」「バラー」です。
見事に挟まれてます。

ヤマモ~ロさん、おはよ~う
Yamamoto
あれ?サロゥさん今日休み?
Sato

おっと!よく聞くこの呼ばれ方~!
フラップTが起こってたんですね。

②Tが「Rと母音の間」の例

party
dirty

そう、「パ~リ~タ~イム」もこのフラップTの仕業でした。

③Tが「母音とLの間」の例

title
bottle

ビーロゥズってやっぱり最高だよねー

ふ…ビートルズだね?
Beatles
フラップT!
どんどんかかって来やがれいっ。

④Tが「RとLの間」の例

turtle
startle

カメ(turtle)さんもフラップ仲間です。

⑤単語と単語の結合(リンキング)で起こる例

フラップTは単語と単語がつながった場合にも起こります。わかりやすい例をいくつか挙げますね。

a lot of
not at all
get out

なじみのある言葉ばかりですね。
アラーラブ」「ナーレロゥ」「ゲラウ
のように聞こえているのではないでしょうか。

あ、有名な「シャラップ!」も shut up で、しっかりフラップ仲間です。

フラップTの発音記号

フラップTの発音記号は / ɾ /  です。
こちらはフラップTの正式な国際音声記号。

Rの発音記号 / r / と似てますね!違いは「軸の上が突き出てるか出てないか」のみ。

見分けにくっ!

英語学習者が見間違えると大変なので、一般的な辞書では  という発音記号で表記されます。
t の下に小さい v が付いたような記号です。

こちらの辞書確認しやすくオススメです。無料・登録不要でオンラインで使えますよ。

Oxford Learner’s Online Dictionaries

上の画像のように、検索窓の左に黄色いボタンがあります。

クリックすると、
English(イギリス英語)
American English(アメリカ英語)
のどちらかを選べます。

アメリカ英語を選択して、狙った単語を検索して下さい。

音声サンプルもしっかり確認出来ますよ。

まとめ(クロエのつぶやき)

今回は、リスニング・スピーキングどちらにも大切な知識、フラップT(フラッピング)について解説しました。

話す上で、口の動きや音の流れをスムーズにするために生まれたフラップT。

日頃何も考えず使っていましたが、この記事を書くにあたって考える時間を持ちました。

同じイタリアなのに、
国は Italy なので「イルリー」
人は Italian でTにアクセントがあるので「イタ~リアン」
国名にはフラッピングあり、国民にはフラッピングなし。

言語ってやっぱり面白いです。

「ハリー・ポッターの発音はイギリス風で!」
と固く誓っても、アメリカ英語で話していると、ついついフラッピングしちゃってるクロエです。

でも、この記事を読んで下さったあなたには、

ヘァリー・パラー

と発音したとしても、スッと理解していただけるのでもう安心です。

記事がお役に立てればとってもハッピーです。

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この記事を書いた人

日英ミックス。英語オタク。幼少期より米国で過ごす期間が長かったため、アメリカ英語を話します。大学(日・米)では言語学をガッツリ深堀りしました。発音指導時にはオタクぶり発揮。特技は歌うこと(ボイトレ歴10年以上)。ジャズ・70~80年代の海外ドラマ・ラムレーズンをこよなく愛してます。

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