海外からスターが来日。
キャー!キャアアアァー!
群がる日本のファンに向かって、彼は口を開きます。
Hello, Japan!!
あなたは今、心の中で彼のどんな声が聞こえましたか?
「ヘロー、ジャパン」ではなかったのでは?
これまでの経験から、こういう音が聞こえたのでは?
ホロ~ゥ、ジペ~ン
小さく発音される部分を「ホ」「ジ」とムリヤリ表記しましたが、正直もっと曖昧な音に聞こえていませんか?
この曖昧な母音が、schwa(シュワ)です。
日本語には「コネクション」「サポート」など、英語が元になっている外来語が無数にあります。
英単語が外来語になる時点で、schwa (シュワ)の音はスペルに近いハッキリした音に置き換えられます。
もしあなたの悩みが、
- リスニングが苦手
- スピーキングが日本人英語になる
である場合、schwa(シュワ)についてまだ理解できていない可能性があります。
‥てことは!
理解した後に得るものは大きい~!
バイリンガルのクロエです。英語と日本語両方を使って育ったからこそわかる日本人にピンときやすい表現を使って、わかりやすく説明しますね。
schwa(シュワ)を理解してリスニング力・スピーキング力を一気に底上げしちゃいましょう。
それでは、Let’s get started!
schwa(シュワ)とは何?
schwa(シュワ)とは英語の曖昧(あいまい)母音です。
英語はリズムと強弱の言語です。
単語・文中の、「強調したい部分」にストレスを置きます。
ここで言う「強弱」とは、声のボリュームの大小ではなく、発音の強さです。
schwa(シュワ)は、その強調しない部分の母音によく現れます。
発音記号は ə
そう、よく見るあの記号です~!
弱く曖昧に発音することによって、強調したい部分を引き立てます。
英語のどの母音もschwa(シュワ)に変化します。
日本人の耳には「ア・イ・ウ・エ・オ」どの音にも聞こえるような、どの音でもないような、曖昧な母音です。
あまりにも曖昧すぎない?
はい、なんかホワ~っとしてますが、英語の母音の中で最多出場選手です。
スピーキングの際のイントネーションの習得にはschwa(シュワ)の理解が不可欠。
schwa(シュワ)を使ってリズム感のあるスピーキングが出来れば、相手に伝わりやすくなります。
また、発音方法の理解はリスニング能力アップへの近道。
そうです、schwa(シュワ)を理解すると、英語の底力が劇的に上がります。
schwa(シュワ)の発音の仕方
schwa(シュワ)は英語のあらゆる母音が曖昧母音に変化した音です。
前後の音・スピード・話者 などにより、音が異なります。そのため、「ə=この音」という定義はありません。
ここでは、どのような場合にも共通する部分を紹介します。
- 口(口周りの筋肉・唇・舌)のどこにも力を入れない
- 口を軽く開ける
- 口の奥で短く発音する
どの母音でもない曖昧な音が出ますよね。
この音を ə の正しい音だとし、単音での発音練習を繰り返すのではなく、
単語・文で ə に出会う度に、その言葉ごとに音のチェックを行うことをお勧めします。
しつこいようですが、様々な要因によって音が変化するからです。
やっぱ曖昧だわー…
この記事ではアメリカ英語発音の例を使って解説します。
では、音の変化の例をひとつご紹介しましょう。
2つのschwa(シュワ)、耳そうじをしてからよ~く聞き比べてください。
lemon lémən
today tədéi
ふむふむ!
ビミョーだけど違う…
それにしても、どの母音とも取れる音ですよね。
カタカナで表す場合、書く人によって違う文字を書いてしまいそうです。
schwa(シュワ)発音練習の一案
- schwa(シュワ)の直前(同文節)の子音を子音のみで発音してみる
例)pilot ( páilət )を ə 抜きで発音
→páilt(「パイlt」のような音) - 徐々に軽く口を開いてschwa(シュワ)音を入れる
練習方法の一案ですが、地域、スピード、話し手によっては、schwa(シュワ)に当たる音が、この手順の1のように子音のみの音に聞こえる場合があります。
schwa(シュワ)を含む全ての単語や文に当てはまる練習方法、というわけではありません。
使えそうだなと思った単語や文の場合に試してみてください。
schwa(シュワ)はどんな時に現れる?
schwa(シュワ)は、
2音節以上の単語で、ストレスを置かない音節の母音
に現れます。
いろいろな例を見てみましょう。
単語の中のschwa(シュワ)
単語の場合は、辞書で調べると発音記号 ə が明記してあるのでチェックできます。
schwa(シュワ)の存在を確認したら、習得したいアクセント(アメリカ、イギリス等)での音声サンプルを探して確認しましょう。
単音としての音が決まっていない母音ですので、単語ごとの確認をお勧めします。
例を2つご紹介しますね。アメリカ発音です。
fashion fǽʃən
salad sǽləd
文の中のschwa(シュワ)
単語と単語が連なった文の中でもschwa(シュワ)は現れます。
文になった場合の強弱の目安はこのような感じです。
伝えたい意味を含む単語
(名詞・動詞・形容詞・副詞・疑問詞)
→強く長めに発音
文を作る上では不可欠だが、無くても意味が伝わる単語
(前置詞・冠詞・助動詞・be動詞・接続詞・関係詞など)
→弱く短めに発音
→schwa(シュワ)を使う
例えば、この文で見てみましょう。
Hailey and Joe are going to the party tonight.
各単語をそのままの強い音(強形)で読むと、
「ヘイリィェア~ンドゥジョーアーゴーイントゥーザパーリィトゥナイトゥ」
のようになると思います。
これだと、すべての単語が強調されていて、まるで何かの大会が始まるアナウンスのようです。
そこで、今回の主役、schwa(シュワ)の登場です。
よっ!
待ってました!
この文章だと、特にand・are・toの音が大きく変わり、theも素早く弱く発音されます。
and → ənd
are → ə
to → tə
無理矢理カタカナで表すと、
「ヘイリィ ァンジョー ァゴーイン タダパーリィ タナイ」
みたいな感じです。
一気に読みますが、「リズムを取るのにここで切っている気持ちで」って場所にスペースを入れました。
相手に伝えたい内容は Hailey・Joe・going・party・tonight です。
それらの単語を強調して読んでみてください。
スペースを入れた場所にうなずいていただけるかもしれませんよ。
文の中のschwa(シュワ)注意点
上のボックスにある、強弱の分類は目安として捉えてください。
「相手に伝えたいことを強調し、それ以外を弱める」
という考えを基本に置いておくとわかりやすいかと思います。
ではでは!
下の文章の前置詞の for はどうでしょう?
What are you looking for?
forが無いと意味が伝わらない…
てことは、弱めずに発音?
おお~!!大正解!!
look for(探す)、look at(見る)など、前置詞が相手に届かないと意味が大きく異なってしまいます。
このように内容を伝えるのに不可欠な言葉の場合は、schwa(シュワ)への音の変化は起こりません。
それでは、もう一文、行きますね。
He is sweet, hot and rich!
この文章でも、彼が「sweet・hot・rich」の三拍子揃っていることの激レア感を出すための強調として、andをハッキリと、なんなら aaand のようにゆっくりと発音することがあります。
日本語でも
「彼って優しくてカッコよくてお金持ちなの。」
と言う場合と、
「彼って優しくてカッコよくて、それに!お金持ちなの。」
という場合では伝わり方が違いますよね。
もぅ~…
他にいい例文なかったの?
固有名詞の中のschwa(シュワ)
国名や人名のように固有名詞にもschwa(シュワ)は起こります。
英語では固有名詞でも一部の母音にストレスを置いて発音します。
America əmérɪkə
Japan dʒəpǽn
Emily éməli
McDonald’s məkdάnəldz
あなたの名前も英語ネイティブから独特なサウンドで呼ばれたことはありませんか?
例えばイノガシラさんという名前で、「ga」の a の母音にストレスを置く場合、
Inogashira
赤文字の部分が全部schwa(シュワ)で発音されるパターンも珍しくありません。
エキゾチックジャパンもシュワってる
クロエは気づきました。
日本の第二の国歌疑惑が浮上している名曲「二億億千万の瞳」。
発売された1980年代の音源を聴くと、郷ひろみさんは、
「ジャパ~ン」
と歌われています。
でも、ある時点以降、
dʒəpǽn
と発音を変えられています。
シュワってます!
さすがだわあー
ナイスシュワっ!
あ、ちょっと待って待って!
YouTubeへ行かないで、クロエのつぶやきも読んでってー。
まとめ(クロエのつぶやき)
今回は英語の曖昧母音 schwa (シュワサウンド)について解説しました。
わかります、わかります~、スペルにつられますよね。
aと書いてあったらア、oならオと読みたくなるのが人情です。
でも、「相手に伝えたい内容を強調すること」を常に頭に置いて言葉に強弱をつける。
その基本を守って数をこなせば、自然に習得できます。
あなたの身体がリズムに慣れてくるんです。
英語らしいリズムを楽しみながら少しずつモノにしてください。
今回はあなたの英語力をリスニング・スピーキングなど多方面から底上げする曖昧母音、schwa(シュワ)について解説しました。
では、よいシュワを!
記事がお役に立てればとってもハッピーです。