英語発音のリンキング【リスニングが苦手な究極の原因はコレです!】

Could you take a picture of us?

えっ!??

なになに????
早口で聞きとれなかった!

ん??…本当に『早口』でしたか?

長くてむずかしい単語を使ってたよ。
この私の語彙力でも
聞きとれなかったんだからね!

Could you take a picture of us?

私たちの写真を撮ってもらえますか?

文字で見ると、短くてやさしい単語ばかり。なのに、聞いたことがない長い単語に聞こえたり、ものすごく早口に聞こえたり。

それは『リンキング』が起こっているからです。

この記事では、英語のリスニング・スピーキングに欠かせない『リンキング』について解説します。

リンキングを理解することは、英語でのスムーズなコミュニケーションへの大きな一歩です。

Could you take a picture of us?
(私たちの写真を撮ってもらえる?)

Sure!
(いいよ!)

…このように、サラッと答えたいですね。

今回のお話は音声学の知識のひとつです。一見ややこしそうですが、基本となる考え方を頭に入れておけば応用がききます。気楽に読んでみてくださいね。この記事が、英語を話したいあなたの小さな助けになればうれしいです。

クロエ

それでは、Let’s get started!

目次

英語のリンキングとは?

リンキングの「リンク= link 」は「つながる」という意味。

リンキングとは、複数の単語が並ぶとき、『前の単語の最後の音』と『後ろの単語の最初の音』をつなげて発音することです。

図のように an orange は「アンオーリンジ」ではなく、つながって「アノーリンジ」のような音になります。

Could you take a picture of us?だと、ひとつの文の中でリンキングが4つ起こります。リンキングされる部分を赤くするとこんな感じ。

Could you take a picture of us?

クッジュテイカピクチャラバス?

…のような音で、ひとつの単語のように一息で発音されます。

リンキングはなぜ起こる?

『言葉を話すこと=連続する複数の単語を発音すること』ですよね?

単語の組み合わせによっては、つなげて発音することで発音がスムーズになります。それがリンキングが起こる大きな理由です。

ネイティブは一定のルールを守ってリンキングしているわけではありません。ルールが先にあるのではなく、英語が話されるなかで、一定の法則が生まれました。

それにしても!
英語ってさあ~
リンキングしすぎじゃね?

クロエ

お!バレたか…
リンキングが英語に多い理由を
次の項で説明します。
体験コーナーも用意したので
参加してね!

英語にリンキングが多い理由

ひとつの音のまとまりを『音節』といいます。

日本語では「ん」と小さい「っ」以外のすべての音節は、下の2種類のどちらかです。

  • 母音のみ  
    a i u e o

  • 子音母音 
    ka ki ku ke ko… など 

ということは、「ん」と小さい「っ」を除くすべての音節は母音で終わります

ところが、英語には子音で終わる音節がたくさんあるんです。

子音で終わる音節のパターン
  • 母音子音  

  • 子音母音子音

例)cat  

【英語の場合】

👉子音母音子音  

👉音節の数:1

【日本語の場合】
(カタカナ英語で「キャット」と発音)

kya / tto  

👉子音母音 / 子音母音 

👉音節の数:2

母音の前後の子音は複数にもなります。例をいくつか挙げますね。

子音母音子音子音
cold fact gold

子音子音母音子音
plan dress step

子音増えたねえ~

はい。子音がもっと多い例も挙げちゃお。これでも1音節です。

子音子音子音母音子音子音
strict

これが一つの音節??
子音だらけ!

リンキングが最もよく起こるパターンは、

  • 前の単語の最後の音 👉 子音
        
  • 後ろの単語の最初の音 👉 母音

の組み合わせです。ほぼすべての音が母音で終わる日本語と違い、英語には子音で終わる音がたくさんあるため、リンキングが多く起こるのです

子音で終わる音が多いから?
う~ん、イメージわかないなあ

わかりました!では何が起こっているか、まずは日本語で体験してみましょう。

日本語で??

リンキングを日本語で体験してみよう

日本語のほぼ全部の音は母音で終わると説明しました。

…が!実際の話しことばでは子音で終わるケースが存在します。

よく聞かれるのが、「~です」「~ます」の「」の音。

です  
de+s 

子音母音子音

👉す(su)の母音 u が発音されない
✅方言によっては発音される

この子音 s で終わる「~です」に、息つぎをせずに母音で始まる言葉をつなげて話してみましょう。意識的にゆっくりはっきり発音しようとせず、普段通りに言ってくださいね

では、始めます。

シチュエーションはこんな感じ

あなたは友人とお出かけ中。
お昼にソバが食べたい。
でもうどん屋さんしか見当たりません。
うどん屋さんに入ってみて、席に通される前にソバがあるか聞き、なければ他の店をさがしましょう。

なにそのシチュエーション…
はいはい、やりゃいいんでしょ

お願いします。はい、うどん屋さんへ入店しま~す。

店員さん

へい、らっしゃい!!
何名様?

2名です。おソバありますか?

いかがですか?

2名です。おソバありますか?

nimeidesosobaarimaska?

おソバの「お」に「s」の音が入ってしまいませんでしたか?

意識的に「ソソバ sosoba」と言ったわけではなく、自然に音の変化が起こってしまう、という体験をしていただきました。

リンキングは言葉をつなげて発音するとき、唇・口の中・息の動きなどがスムーズな流れとなる上で起こる音の変化です

ルールがあるというよりも
自然にそうなったんだね

なんやねんな、この実験~
「二人やけど?おソバある?」
って聞くやろ、普通

リンキングとリエゾンの違い

リンキングという言葉と一緒に「リエゾン」という言葉を聞いたことはありませんか?リンキングとリエゾンは同じではありません。

リエゾンとは何?

リエゾン(Liaison)はリンキングの際に起こるさまざまな音の変化のひとつです。

フランス語などには、スペルにある語尾の子音が発音されない単語があります。『単語だと発音されない語尾の子音が、後ろの単語の頭の母音とつながることによって発音されるようになる音の変化』をリエゾンといいます。

たとえば、

vous   あなた(達)
 
👉sは発音されない

aves   持っている
アヴェ

をつなげて発音する場合、

vous avez  あなたは持っている
ヴェ
👉sが発音され後の音につながる

ほぅ…
おもしろい現象だねえ!

でしょ?

英語で起こるリエゾン

英語にもリエゾンは起こります。

イギリス英語(地域による)では、語尾の R が発音されません。

たとえば、where という単語。アメリカ英語では通常最後の R が発音され、『ウェァ』のような音になりますが、イギリス英語(地域による)では、

where   
ウェー 
👉Rは発音されない

のように発音されます。後ろに単語をつなげると…

Where are you?  
ウェーユ
👉Rが発音され後ろの音につながる

おー
リエゾンしてるね

リンキングをリエゾンと呼ぶ人が増えている?

日本ではリンキングの呼び名を『リエゾン』とする方が増えてきているようです。今後の日本の英語業界ではそちらが主流になっちゃうのかしら?

ただ、音声学上は同じものではないということを頭の片隅に置いておいてくださいね。

リンキングを学ぶメリット

リンキングを理解できればメリットだらけです。まさにメリット祭り。

英語を話す上で重要な2つの力が劇的にアップします。

  • リスニング力がアップする

  • スピーキング力がアップする

慣れて実践できるようになれば、確実に、しかも劇的にアップします。

①リスニング力がアップする

道で英語で話しかけられてパニック状態になってしまう人。ほとんどの場合が「簡単な内容なのに聞きとれていない」パターンです。

外国人観光客が、いきなり世界情勢など難問を投げかけてくることはまずありません。駅やトイレの場所を知りたい、といった基本的な単語を使った質問がほとんどです。

なのに聞き取れないのは、

単語がつながって聞こえ、切れ目がわからない

からです。またそうなることで、

  • 違う単語(音)として聞き取ってしまう

  • 早口だと感じてしまう

という状態になります。

そう…
長い単語を一息で言ってるように聞こえるよ?

多くの日本人は、他のノンネイティブの国々の人たちに劣らない英語の語彙力を持っています。なのに、英語でコミュニケーションできる人が少ないのが事実。

リンキングを理解することで、

  • 音の切れ目がわかる

  • 音が変化していることを理解できる  

そうなることで、

  • 違う単語に聞こえる
     ➡正しい単語を聞き取れる

  • 早口に感じる
     ➡単語がつながっているだけだと理解できる

という結果が期待できます。

『リンキングが起こっている』という事実を知り経験を重ねていくと、面白いように英語を聞き取れるようになります。ちんぷんかんぷんな会話で使われている単語が実は知っているものばかりだった、という可能性もありますよ

ふむふむ
受験で詰めこんだ英単語が
輝く日は近い!

②スピーキング力がアップする

リンキングせずに話すと、プツプツと単語を切って話すことになります。内容は伝わりますが、機械的でなんだか不自然。

同じような現象が日本語にはないので、最初は苦戦するかもしれません。でも慣れてくれば…

ん?あれ?
発音しやすい

という瞬間がきます。もともと『発音しやすい状態になるため』に起こる音の変化なので。

リンキングによって流れがスムーズになると、強弱やリズムを表現しやすくなります。また、リンキングなしではネイティブと同じイントネーションで話すことができません。

強弱・リズム・イントネーションは、文章を構成する単語ひとつひとつの『伝えたい内容の重要度』からも決まってきます。結果として下の①~③が順番に起こることに。

  1. リンキングを使って話す

  2. 強弱・リズム・イントネーションがつく
     👉伝えたい部分が明確な話し方

  3. 相手に伝わりやすい

相手に伝わりやすいてアンタ、
いちばん大事なことやんか~

得られるメリットでかっ!

祭りだ祭りだ~
メリット祭りだ~

リンキングがよく起こるパターン

英語にはリンキングのパターンがたくさんあります。音の変化の仕方もさまざま。複数の音がひとつにまとまったり、新しい音が生まれたり。

たくさんのパターンがあり、研究者によっては分類方法も異なります。細かく分類したパターンを丸暗記するのは大変です。

それよりも基本パターンをざっくりとつかみ、あとはネイティブが話すのをたくさん聞いて慣れていくことをおすすめします。

この記事では、押さえておきたい2つのパターンをご紹介します。

  1. 子音+母音

  2. 母音+母音

以降の解説で『リンキングされる場合の発音の仕方』としてカタカナ表記します。変化した音のイメージのわかりやすさを目的としたもので、厳密には実際の英語発音とカタカナ発音は異なります。

①子音+母音

子音で終わる単語+母音で始まる単語 の組み合わせ

子音で終わるのは「音」
スペルじゃないからね~

そうです。たとえば、like it の場合、like のスペルは e(母音)で終わりますが、音は k(子音) で終わります。『音が子音で終わる場合』で判断してくださいね。

「子音で終わる」とは

例)like  (発音  láik

スペル👉e(母音)で終わる
音👉(子音)で終わる

音がどちらで終わるか、で決まる
like は子音で終わる

like it  👉 リンキングされる

an orange   アノーリンジ
this is    ディスィズ  
tell us    テラス 

ほとんどの場合が、

  • それぞれの単語を正しく発音
         
  • 複数の単語を息つぎせず一気に発音

を同時にすることで起こる自然な音の変化です。

②母音+母音

母音で終わる単語+母音で始まる単語 の組み合わせ

母音と母音がリンキングするとき、前の単語と後ろの単語の間に小さい y または w の音が生まれます

生まれる音が y か w どちらになるか、大まかな基準をまとめるとこんな感じ。

yかwどちらか見分け方

theapple
  ↑     ↑
前の単語  後ろの単語

💡前の単語の最後の音が、
 どちらかといえば・・・

  • 『イ』に近い音で終わるとき
     ↳ 小さい y の音が生まれる
  • 『ウ』に近い音で終わるとき
     ↳ 小さい w の音が生まれる 

例)theapple ディ + アッポーの場合
  前の単語は『ディ』のような音
     👇
  『イ』に近い音で終わる
     👇
  小さい y の音が生まれる

単語の間に入る y や w は微妙な音なので、意識しなくても問題なくリスニングやスピーキングは可能です。ただ、この微妙な y や w を入れるか入れないかでネイティブの発音との差が出てしまいます

y と w 、それぞれのパターンについて、実例を出しながら解説します。

ネイティブ発音を目指す人は
押さえておこう!

母音+小さいy+母音

『イ』に近い母音終わる単語+母音で始まる単語 の組み合わせのとき、2つの単語の間に『小さい y 』の音が生まれます。

the+(y)+apple   ディヤッポー
say+(y)+it     セィヤット
stay+(y)+awake  スティヤウェイク

イメージしやすいようにカタカナの「ヤ」を使って表記しましたが、「ヤ」だと y の要素が多すぎます。y の音を意識的に入れて「ヤ」と発音するというよりも「 y のような音が混じってしまう」と考えてください

たとえば、the apple の場合。theapple を下記4つの条件を満たすようにつなげて発音すると theapple の間に y のような音が生まれます。

  • 息つぎをしない
  • 力を入れない
  • 口の中・外の動きは最少限で
  • なめらかに

この4つの条件は、日常的に言葉を話すときに人間がとる体勢です。(息つぎについては「単語ごとに息つぎをしない」と考えてくださいね。)

ふ~ん
ルールに沿って入れてるというより
「入ってしまう」音なのか…

母音+小さいw+母音

『ウ』に近い母音終わる単語+母音で始まる単語 の組み合わせのとき、2つの単語の間に『小さい w 』の音が生まれます。

go+(w)+ahead  ゴウワヘ
do+(w)+it     ドゥウィッ
how+(w)about  ハウワバウ 

イメージしやすいようにカタカナの「ワ」を使って表記しましたが、「ワ」だと w の要素が多すぎます。w の音を意識的に入れて「ワ」「ウィ」と発音するというよりも、流れをスムーズにしようとすると「w のような音が混じってしまう」と考えてください

前項『母音+小さいy+母音 』と同様、言葉を話すときに人間がとる自然な状態で go ahead や do it などをリンキングしてみてください。それぞれの単語をネイティブと同じ音で発音できていれば、自然に小さい w の音が生まれます。

Hey, そこの暇そうなアンタ!
レッツゴゥワゥタナイ
(Let’s go out tonight)
お好み屋行くでー

おお!
小さいwマスターしてんじゃん!

リンキング習得におすすめの学習方法

リンキングを習得するためのポイントは2つです。

  • ネイティブが話すのをたくさん聞くこと

  • ネイティブの話し方をたくさん真似すること

パターンを丸暗記しようと頑張るよりも、いろいろなパターンにふれる機会を持つ方が無理なく身につきます。

たくさんの生きた英語にふれていると、新しい表現に出会っても「ここでリンキングされるのでは?」と気づけるようになることも。言語を習得する上では、決してめずらしいことではありません。

生きた英語にたくさんふれられる学習方法として、

  1. シャドーイングを取り入れた学習

  2. ネイティブとの会話

が、おすすめです。

①シャドーイングを取り入れた学習

お手本の音声を流しながら、追いかけて同じように発音する学習方法をシャドーイングといいます。

  • 音源付きの本
  • 英語字幕付きの動画

などを使って音声と文字を確認しながら、ひたすら真似て発音してください。

お手本には必ずネイティブの音声を使用することをおすすめします。

シャドーイングを使った具体的な学習方法は、別の記事でくわしく解説しています。「シャドーイングは効果なしって聞くことがあるけど、ホントのところどうなの?」という切り口で書いています。

シャドーイングは英語力を総合的に底上げしてくれるおすすめの学習方法です。ぜひ試してみてくださいね。

真似しまくるのね?
なりきりなら得意分野よっ

②ネイティブとの会話

ネイティブと実際にたくさん会話しましょう。

リンキングが身についてきたな、と実感し始た頃に客観的にジャッジしてもらうのが特におすすめ。リンキングに関して不自然なところを指摘してもらいましょう。

うっしゃあ~!
どんどん指摘してちょうだい!

フッ…しょうがないわね…
遠慮なく行くわよっ!

周囲に話せるネイティブがいない場合は、オンライン英会話でお願いしましょう。ネイティブの先生が多数在籍している【Cambly(キャンブリー)】ネイティブキャンプ がお願いしやすいかと思います。

オンライン英会話の講師は

  • 発音がおかしくても通じるレベルだから
  • こまかく指摘すると生徒のモチベーションが下がるから

などの理由から指摘をしない場合がよくあります。あなたの希望として伝えれば、きちんと指摘してくれますよ。その際にお願いするチェックポイントは、たとえば…

  • 不自然なところでリンキングしていないか

  • リンキングせず不自然なところがないか

  • リンキングの際の音の変化がおかしくないか

上記はチェックポイントの一例です。あなたが指摘してほしい内容をそのまま伝えてくださいね。

まとめ(クロエのつぶやき)

今回の記事では、

  • 英語でリンキングがよく起こる理由
  • リンキングが起きる基本パターン
  • リンキング習得におすすめの学習方法

を中心に、英語のリンキングについて押さえておくべきポイントを解説しました。

英語の音の変化にはリンキングの他に、同化・フラッピング・脱落などがあります。日本ではこれらをまとめてリンキングとする指導があったり、リンキングそのものを「リエゾン」と呼ぶ指導もあったりします。

ここまで指導がさまざまだと、正直おもしろいな~と思っちゃいます。でも英語学習者にとってはややこしい現実ですよね。

呼び方や分類方法がどうであれ、音の変化が起こっている事実・それはどのような変化なのか、を知っていれば問題ありません。たくさんの英語にふれて、自然に身につけていきましょう。

最後まで読んでくださったあなた、ラブユ~ソーマッチ。

記事がお役に立てればとってもハッピーです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

日英ミックス。英語オタク。幼少期より米国で過ごす期間が長かったため、アメリカ英語を話します。大学(日・米)では言語学をガッツリ深堀りしました。発音指導時にはオタクぶり発揮。特技は歌うこと(ボイトレ歴10年以上)。ジャズ・70~80年代の海外ドラマ・ラムレーズンをこよなく愛してます。

目次