「ザ★英語」という感じの響きを持つRの音。
発音するの、難しいですよね。
日本語に似た音がなく、感覚がつかめないのが原因です。
まあまあ英語しゃべれるんだけど
Rの発音がちょっと‥
モノにしたいなあ~
という悩みを持っているあなた、今度こそモノにしましょう!
バイリンガルのクロエが発音の仕方を詳しく解説します。英語と日本語両方を使って育ったからこそわかる、日本人学習者向けのヒントを用意しましたので、チェックしてくださいね。
- 英語のRの発音方法
- 日本人が陥りがちなRの発音例
- 日本人向けのRの発音のコツ
それでは、Let’s get started!
Rの発音は舌を巻く?巻かない?
学校では舌を「しっかり巻く」って教えられたよね。
でも「絶対に巻かない」っていう情報も結構見るの。
混乱してるんだけどっ!
そういうお悩み、よく聞きます。そりゃあ混乱しちゃいますよね。
結論から言うと、どちらも正しい表現ではありません。
- 舌を しっかり巻く
- 舌は 絶対に巻かない
舌を巻く・巻かないの情報が混在する理由
Rの発音での舌の動きについて、対立する意見が飛び交ってますよね。
舌をしっかり巻いてねー
いや、舌は絶対巻かないものよ
‥というように。なぜこんなことになっているのか、理由を説明します。
理由?
派閥じゃないの?
音声学ウォーズみたいな
それが違うんです。わかりやすく説明しますね。
「舌を巻く」という言葉の意味
ネイティブがRなどの発音指導で使う表現に、
curl up your tongue (舌を巻く)
というものがあります。ここで表そうとしている動きは、
『舌先が奥側へ向け少し巻き上がるように反った状態』
です。
直訳である「舌を巻く」という表現から一般的にイメージされるのは「舌全体をしっかりクルッと巻く」動きです。そのあたりから誤解が生まれました。
「絶対に巻かない」指導の意味
Rには発音方法が大きく分けて2種類あります。2つの方法の大きな違いは、舌先です。
- 舌先を口の奥側へ向け少し反らせる
- 舌先はまっすぐ(または少し下向き)
2番の方法では舌を巻きません。
ネイティブは教えられることなく、どちらかの方法を選んでいます。Rの音を作る中で無意識に舌を動かした結果がどちらかに当てはまるのです。
Rを発音するとき、人生で一度も舌を反らせた経験がない人も。私の友達にもいます。
そういう人は、
舌は絶対まっすぐだよ~
え?反らす?ないない!
と断言します。この事実が「絶対に巻かない」という誤解の始まりである可能性は大きいです。
それでは、基本の2つの発音方法を解説しますね。
どっちも難しかったらどーしよ‥
あのぉ~‥身構えないで「Rの発音は難しい」という考えは捨ててください。Rはリラックスしないと出せない音です!
この記事ではアメリカ英語での発音方法を解説します。
Rの発音2つの基本形
Rには基本の発音方法が2種類あります。
- 反り舌のR(Retroflex R)
- 盛り舌のR(Bunched R)
反り舌のR(Retroflex R)
その名の通り、舌先が少し反った状態で発音されます。
この動きは、舌先を「自分の方に向かってほんの少し巻き上げる」ともいえますよね。
こちらが「舌を巻く」と指導される発音方法です。
盛り舌のR(Bunched R)
舌を奥へ引き、舌先は脱力された状態で発音されます。
舌先を脱力した状態で舌全体を奥へ引くと、舌先から根元までを寄せた状態になります。
寄せて短くなった舌は、必然的に分厚くなりますよね。
厚みを帯びた舌の状態が、盛り上がって見えるため「盛り舌のR」と呼ばれる発音方法です。
反り舌のR・盛り舌のRどっちを使えばいいの?
反り舌のR・盛り舌のR、発音しやすい方法どちらかをマスターすればOK。
それぞれ舌の形状が違いますが、どちらの方法で発音しても、Rの音として認識される音が出るからです。
2種類の方法を試してみて、あなたがこれだと思う音を出せる方、発音しやすいと感じる方を選んでください。
どっちかが主流なんでしょ?
今から練習するなら主流の方が得じゃん
教えて下さいよ~
アメリカでは盛り舌で発音する人が多数派ですが、圧倒的な差ではありません。どちらの方法も使われています。
ご近所の幼なじみでも「お隣りのジョーは反り舌派だけど私は盛り舌だわ~」などというケースが普通。
究極のところ、育ててもらった両親が盛り舌なのに自分が反り舌なんてことも。
そんな話題が出るとしたら
かなりの発音オタク一家だけどね。
普通は気にもしないし。
話し手個人、同じ話し手であっても単語や文のRの位置などによって発音しやすい方に変わる、というケースもめずらしくありません。
盛り舌のR、反り舌のR、どちらを選ぶか迷いますよね。
このあと、バイリンガルとして育ったからこそ気づけた日本人が直面しがちな問題をリストアップします。ぜひ参考にしてください。
キターーーー!
日本人向けオリジナル解説!
日本人にありがちなケース①反り舌のRを選ぶ場合
舌を反らせる動きが日本語の発音にないことが大きな原因です。慣れるまでは、Rが出てくるごとに発音のための構えが必要になりますよね。
構えを取るごとに息の流れが止まり、ひとつの文が細かく分断されたように発音されるケースがよくあります。
慣れるまでは大変だね
日本人にありがちなケース②盛り舌のRを選ぶ場合
英語のRの発音には、舌のコントロールが重要です。日本語には舌の一部に力を入れたり、舌そのものを奥へ引いたりする動きがありません。
舌のコントロールが上手くできず、Raがウァ、Roがウォのような独特な音になってしまっているケースがよくあります。
舌のコントロールも慣れが必要ね
やるわよっ!
日本人向けRの発音練習例
ネイティブであっても、舌の筋肉が発達していない幼少期には、Rを上手く発音できません。
その場合の練習法として推奨されているのは反り舌のRの方です。
respect や rabbit のような単語の頭にある R は、ハッキリと発音しないと聞き手に認識してもらえません。
Rの音として伝わったとしても、独特な発音だと思われてしまいます。慣れるまでは反り舌のRでの練習が効果的です。
発音しやすさには個人差があるよ
やってみて盛り舌の方が合ってると感じたら
そっちでやってみてね~
この記事では、練習しやすい組み合わせの一例として
- 単語の頭のR →反り舌のR(Retroflex R)
- 単語の末のR →盛り舌のR(Bunched R)
のパターンを使って解説します。
英語のRの発音方法
- 単語の頭のR →反り舌のR(Retroflex R)
- 単語の末のR →盛り舌のR(Bunched R)
以上2通りの組み合わせを使って説明します。
よっしゃあー
やったるでいっ!
単語の頭のR(反り舌のR)
- 口の力を抜いて縦に少し開く
- 舌を少し奥へ引く
- 舌の後方の両側面を上奥歯に近づける
- 舌先を内側へ少し反らせる
- 舌の前方部分はどこにも触れない
- 口角に少し力を入れ、
舌の奥に力を入れながら口の奥から声を出す
単語を発音するために、この構えで作ったRを母音につなげていきます。
run rʌn と発音してみましょう。
反らせた舌先を前へ解放しながら発音します。基本の構えで舌全体は引かれた状態で奥側に力が入った状態です。
やってみるとわかるのですが「力を入れて奥へ引いている」状態と似ています。入れた力を解き放つように舌先を解放してください。
run
独特のこもったRの音が出ましたか?
力を入れてから解放すると、
「ラン」じゃなくて「ゥラン」
みたいになるんだね
「Rの前にW(またはウ)をつける」「チュ~する口をしてから発音」という指導が行われているのは、この音を出すための別の角度からのアプローチです。
ただし、ネイティブが通常のスピードで会話するのを見るとわかりますが、チュ~口はしていません。強調して話す時に口角に少し力を入れたりすぼめたりする程度です。
ネイティブは、無意識に口角をコントロールしながらRの音を作っています。これに似た動きは日本語にはありません。ネイティブのように感覚だけに頼った発音はむずかしいです。
感覚で出来るようになるまでは
口角でコントロールだっ!
やりすぎない程度に口角に意識を向けて練習してください。アヒル口になるほど力を加える必要はありません。力の入れすぎは口の動きを制限してしまいます。ヒヨコちゃんの口ぐらいの軽いイメージでお願いします。
アタス?
そうですアタスが変なアヒル口です
あんだ、コノヤロー
単語の末のR(盛り舌のR)
- 口の力を抜いて縦に少し開く
- 舌を少し奥へ引く
- 舌の後方部分の両側面を上奥歯に当てる
- 舌の前方部分はどこにも触れない
- 口角に少し力を入れ、
舌の奥に力を入れながら口の奥から声を出す
最後の音がRの単語を発音してみましょう。直前の母音から手順1~5で説明した動きで作るR音へつなげます。
star stɑːr
直前の母音の a の音をはっきり出してから r の音を出します。a を発音する時点で r の音が混じって「stara」のような響きにならないよう注意してください。
Rの発音のコツ3選
Rの発音のコツの理解を深めるために、まずは日本人が苦手でやってしまいがちなパターンを知りましょう。
- 舌を奥へ引きすぎる
- 舌を巻きすぎる
- 舌先が下がりすぎる
- 唇全体に力が入り口を閉じすぎている
- 口前方の下側のみを使って発音している
- 喉の奥深~~くから発声している
自分の発音によ~く耳を傾けて、上記の状態に当てはまっていたら調整をかけてみてください。
日本人にありがち‥
どうせそうですよだ‥
Rの発音注意点多すぎじゃん
なにグチッてんだよ
やったもん勝ちだよ
日本人にありがちなケースを避けるために、コツを3つ用意しました。
やってみてしっくり来るものがあればお得です。ぜひトライしてみてください。
発音のコツ①引いた舌の位置の目安
舌を奥へ引きすぎて独特な発音にならないように、舌の位置の目安を紹介します。
- 舌を前歯裏にピタッとつけて、そのまま奥へなめ進む
- 前歯裏→
歯茎(ボコッと出た硬い所)→
軟口蓋(軟らかいドーム型の大きい所)と進む - 舌の先端が歯茎(ボコッと出た硬い所)になるよう調整する
上記の調整した場所は目安です。口の中の各部位のサイズや距離には個人差があります。必ずネイティブと自分の発音を聞き比べながら調整してください。
ふむふむ‥
「よく聞いて調整」ね
発音のコツ②口の上半分を使う
日本語の発音にはあごを上下させる動きがたくさん出てきます。
その影響で日本人が英語を話すとき、あごを上下させて口の下半分を重点的に使うことが。
反らせた(巻いた)舌先を、発音するときに下の前歯あたりで解放し発音しにくそうな方がよくいます。
Rの発音をするとき、下へ向かって声を出すのでなく、上唇の存在を感じながら斜め上の鼻のあたりへ向かって声を出してみてください。
そういや下半分ばっか疲れてるかも‥
発音のコツ③声を出す場所を調整する
英語は喉の奥から発音するというイメージが浸透しているせいか、喉の奥深くから低い声を細く振動させるように話す方をよく見かけます。
喉のと~っても奥深い場所から発声するので、響きが足りず不思議な音に。不自然なほど低い声で話すので発音も曖昧になりがちです。
ネイティブが指導で「Rは犬の唸り声のように」という表現を使うことがあります。
「唸り声」に抱くイメージは人によってさまざま。大型犬の低い唸りをイメージした人に起こっている可能性が。
喉の奥深くから意図的に低い声を出そうとせず、自然体でリラックスしてください。
声が下向きにばかり落ちてしまわないよう、発音のコツ②もあわせて取り入れるのもオススメです。
低い唸り声は発音しにくいわぁ
まとめ(クロエのつぶやき)
今回は日本人の宿敵とさえ思われているRの発音について、
- 2種類の方法(反り舌・盛り舌)
- 言葉の頭にある場合の発音方法
- 言葉の最後にある場合の発音方法
- 日本人向け注意点とコツ
を解説しました。
他の音にも共通しますが、Rの発音には「自分の声をよく聞いて調整をかけること」が特に重要です。
練習するときには心に留めておいてくださいね。
Rちゃんは決して日本人の宿敵などではなく、あなたの英語に深みを持たせてくれるれっきとした味方です。
あきらめて放り出さず、少しずつ仲良くなってあげてくださいね。
記事がお役に立てればとってもハッピーです。